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【前回のあらすじ】
(続き)
私は柿を育てるのに私の時間のほとんどを費やした。
春には柿に害虫が寄り付かないよう試行錯誤をし、
夏の台風の日などは、夜の間ずっと雨に打たれながら柿を見守った。
秋は特にやることもないが縁側で柿の木を眺め、
冬は寒さに耐えられるかどぎまぎした。

4年目の秋、柿は実を結ぶことは無かった。
まあ最短で4年という事であるから、来年には実が成るかもしれないし、ことわざ通り8年後かもしれない。
とにかく私はもう少し生きてみようと思った。

そして柿を植えてから10年がたった。
未だに実は出来ない。
私は悔しくて涙を流した。
生前、妻には何もしてやれなかったのだ。
平成の世では珍しくもあるが、いわゆる私は亭主関白というものであり妻にはいろいろとひどい仕打ちをしたものである。
そのひどい仕打ちにも関わらず、妻は私にずっと寄り添ってくれていたのだ。
それに気づいた私は今までの事を詫び、いたわろうと思った。
しかしその屋敷に妻は死んでしまった。
私は妻に何もしてやれないまま死んでしまうんだろうか。
そう思うと悔しくて悔しくて、涙が止まらないのだ。
(続く)
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