前回のあらすじ

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【前回のあらすじ】
 鬱、鬱、鬱。
 むしゃくしゃしていた私はたまたま持っていたカッターナイフで自分の左手首を切り刻んだ。
 しかしその左手首の傷から出てきたのは真っ赤な血潮ではなく鬱。それも真っ黒な。
 その真っ黒な鬱は私の身体を覆い尽くした。しかしそれは情報でしかないため、私の精神は蝕まれることは無いのだ。
 私はそのまま外へ出た。私を覆う鬱は周りの人に感染していく。だがしかし、それは情報。何にもならないのだ。

 真っ黒な鬱はなおも左手首から大量に噴出していた。ふと自分の体に異常が起きていることに気がつく。縮んでいる。
 そうか。私は人間ではなく球体である、かつ私の世界というのはボールの内側だったのだ。鬱が大量に流れ込んでくるのは当然のことである。私の外側は全てが鬱なのである。
 私という球体はその形を保てなくなり、しぼんでいく。外も鬱。中も鬱。
 私は鬱そのものになり果ててしまったのだろうか。完全なる闇。あるのはこの自意識のみである。
 ただその自意識もただの情報でしかないため、そのうち鬱の闇の中へと吸収されていった。
 鬱、鬱、鬱。
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