前回のあらすじ

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【前回のあらすじ】
 アルコホル・ティッシュが詰められた円筒状の容器の蓋を開けてみたところ、当然のことながら容器の中に気化して充満していたアルコホルが解放されて、私の鼻を刺激した。すぅ・・・・・・。

 ♡♡♡♡♡♡♡♡おっほ////♡♡♡♡♡♡♡♡

 たまんねえなコレ。幼時から私はこの行為を続けてきた。このアルコホルの刺激臭が私の鼻の穴を通る度に、私は私の脳髄が除菌されるような心地よい陶酔の中へ身を投げ出さざるを得ないのである。これはアルコホルが持つ酩酊作用が私をかのような状態に変換させてしまうのか?いや、違う。己の妄想による心理的影響に他ならない。幾ら気化したアルコホルを吸おうが、液体のアルコホルを飲もうが人間の脳髄は除菌されるようなものではない。むしろアルコホルが分解されたことにより発生したアセトアルデヒドという毒に我々人間の脳髄は侵されているのではないだろうか。
 要するにコレは「アルコールは除菌作用を持つ」という認識を人間の体の機能をよく知りもしない私がねじ曲がって捉え、「気化したアルコホルを吸うと脳髄が除菌される」と自己の意識に植え付けてしまっただけに過ぎない。

 しかし思い込みというものは現実になりうる。冷たい金属を高温と思い込み触れて火傷をしたものや、首筋に垂れた水を自分の血と思い込んでショック死したものが居るように。つまり私の脳髄は「除菌」されているのだ。
 私の脳髄における「菌」とはなんなのであろうか?私はそれを知らずに「除菌されている」と恍惚の表情を浮かべている。ふとした仮説が陶酔の中の不安定な思考の中に流れ込んだ。この陶酔の中に要ると私の思考はほぼ沈黙状態にある。それ即ち、私の思考そのものが「菌」なのではなかろうかしらん。
 では私は緩やかな自殺をしているのだ。思考が死んだならば私の肉体も死体であると同義だと思ふ・・・。

 時間が経ちアルコホル・ティッシュに付着していたアルコホルは全て気化してしまい、アルコホル・ティッシュが持っていた「除菌」という機能は永遠に失われてしまった。しかしアルコホル・ティッシュがティッシュに変化してもそこに使い道はあるが、死体同然の私に利用価値はあるのであろうか?
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