前回のあらすじ

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【前回のあらすじ】
 暖かな春の午後、優しい太陽の光が僕の股間を照らしている。今、僕は股間だけ穴が空いていているラバースーツを着てどこかを歩いている。「どこか」というのは決して場所をぼかしているわけではなく、本当に自分がどこに居るのか分からない。なぜなら今着ているラバースーツは特注で、股間以外を完全に覆っているのだ。視界はもちろん塞がれ、耳も分厚い素材で覆われている。鼻も同様。口にはギャグボールを咥えている。要するに今僕は、触覚以外の五感を全て封じた状態にある。そんな状態で散歩をしているのだから今がどこか何てわかるはずがないだろう?要するに今僕は宇宙に居るみたいなんだ。宇宙に居て、それでいてた太陽に向かって散歩をしているんだ。

 ああ、今僕はどこにいるんだろう?周りはどうなっているんだろう?うっひょう!気持ちがいいね。周りの人々は僕を嘲笑いスマホで写真を撮っているかな?それとも悲鳴を上げて逃げているのかな?それとももう既に僕の背後には警察がいつ取り押さえようか今か今かと待ち構えているんじゃないだろう?ああ!宇宙の中の絶頂!ほとばしる熱いパトス!誰か私を止めてくれ!誰か私を止めてくれ!さもないと私は永遠に練り歩くぞ!お前の家の前を練り歩くんだぞ!

 長い時間が経って私の股間は太陽の光を感じなくなった。おかしい・・・。こんなイカれた格好をした男が数時間も屋外をさまよって警察に保護されないなんていう事はあるのだろうか?私はどこを歩いているんだろうか。そもそもさっきから何の障害物にもぶつからない・・・・。都会のど真ん中のアパートから出発したはずなのにどこにもぶつからないなんてあるのだろうか。

 誰か助けてくれ!私はこの野外露出を楽しむためにこのラバースーツは一度着たら自分では脱げないように設計したのだ!ああ!今私はどこにいるんだ!誰でもいい!誰か助けてくれ!

 音も無い、臭いも無い、光も無く、味も無い。そして誰もいない。ラバースーツの中に宇宙があった。
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