前回のあらすじ

戻る
【前回のあらすじ】
 ゼリー状の神々が私の脳髄を埋め尽くすのに、それほど時間はかからなかった。汚染された私の脳髄はとめどなく流るる妄想の濁流の中、虚数空間へのトリップを始めるのであった。極彩色の豚共は私の周りをぐるぐる、ぐるぐると回っている。その時永劫の時から放たれた私の髄液は、天使とともにリーンカーネーションの輪を何周も回っていくのだ。ある時私は豚だった。ある時私は脳髄であった。ある時私は宇宙そのものであった。宇宙であった時、私の胎内には今の私がいたのだ。一聞しただけではこれはただ矛盾を擁した狂人の戯言のようにも聞こえるがそうではない。宇宙は空間と時間である。未来と今と過去を内包している。そのため、同一宇宙上に今の私と来世の私が同時に存在していることは、何ら矛盾は生じないはずである。精神世界で私は来世の自分と相対する。やあ自分、君は精神世界の中で鉛色の食べ物を生産することに忙しいそうだが、そろそろ現実に世界に戻ってこないかい?現実世界は今も昔も変わりなく大量生産・大量消費を繰り返しているよ。だからお前の存在なんぞは無価値にも等しい。いやむしろ存在しない方がこの世のためなんじゃないかね?

 もう56億7千万年もたったのかね。早いもんだなあ。あの時の君はまだニュートリノも存在していなかったじゃあ無いか。それが今や有象無象のゴミを内包したゴミそのものと形容されるものになってしまっている。恥ずかしいと思わないかね?私は恥ずかしい。一緒にビッグ・クランチをしようじゃないか。嬉しい事も、嫌なことも、全てがごく微小の中に潰れてしまうんだ。パーソナルスペースなんぞはないし、そもそもその概念さえも圧縮されてしまう。恐るべき情報量の圧縮だね。zipで固めたなんてもんじゃないさ。あまりの圧縮率で解凍するのに136億年かかるのさ。そのスパンで宇宙は圧縮と解凍を繰り返している。
 神々はゼリー状だから圧縮されないのさ。ただ圧縮された際の化学反応で発光してしまう。その場合、私はあたかもヒカリゴケの如く発光しているかのようにみえてしまうんだ。どうすればいいと思う?どうしようも無いさ。脳髄が支配された時点で私には自由思考なんぞは持ち合わせなくなってしまったのだ。全ては神の思うがままに私は行動してしまうようになったんだ。人はそれを運命と呼ぶんじゃないだろうか。
戻る


TOP

プライバシーポリシー | HOME | お問合わせ
copyright © since 2019 suikentsukai.