前回のあらすじ

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【前回のあらすじ】
 「今日もいつも通り静かだな・・・。」
 私は口から出る白い息とともに小さい声でつぶやいた。ここは深夜の、それも人通りの少ないとある道。空には都会の汚い空気に邪魔されつつも、何光年も先から星々が懸命に送っている光が見える。周りは静寂。今、聞こえるのは一定間隔で繰り返される私の呼吸、心臓、歩行。それ以外の音という音は太陽とともに消え去ってしまったのだろうか。

 私は歩き続ける。街灯が無いため、辺りは暗闇に包まれている。ここらに住む住民は役所に街灯を設置するよう訴えているそうだが、私は反対だ。私はこの暗闇が好きだ。暗闇の中を歩くのはいい。暗闇の中を歩いていると、永久に出口のない一本道を歩いているような気分になる。普通の人であればそれは決していい気分ではないだろうが、私にとってはそれが一番心を安らがせる。できれば本当に出口など無くなってしまえばいいのに。私はもう現実に疲れた。しかしそんなことは起こりえないのだ。それが分かっているから私は道具を持ってきたのだろう?(続く)
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