前回のあらすじ

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【前回のあらすじ】
 目の前には球体が浮かんでいる。色は黒。直径は5センチメートル程だろうか。それは、いついかなる時も私の目の高さで1メートルほど離れて浮かんでいるのだ。触れようとするとそれは逃げていく。
 別にあろうがなかろうが私は通常通り過ごすことが出来ていたため、私はそれを無視することにした。

 球を無視する生活が一年ほど続いた頃だろうか。球は私の姿に変身した。私は球の私に尋ねる。
 「君は電子の雲の中に黒山羊の姿を見出したのかね?」
 黒球は何も答えない。

 その後、私の姿をした黒球は収縮していき、ついには私の眼には見えないサイズになってしまった。観測することが出来ないのであれば、それは存在しない事と同意である。と、私が思った瞬間にシンクロニシティが発生した。この世の「観測できない・観測されない」物がこの世から消失したのだ。ウィルスや菌、空気、原子・・・。眼に見えないすべての者たちは全て消え去った。

 そして最後に私自身が消えた。所詮私も観測されないものの一つでしかないのだ。
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