前回のあらすじ

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【前回のあらすじ(続き)】
そんなある日の夜のことだった。私が机で作業をしているとまぐわい坂の方から悲鳴が聞こえた。
野太く猛々しい悲鳴だったから、私はまず悲鳴の主は男だろうと推測をした。
なんだろう、と私は窓を開けまぐわい坂の方を眺めた。
すると血に塗れた刃物を持った女が裸で坂を駆け下りていくではないか。
ああ、痴情の縺れで女が男を刺したのかな?と思った。
何故か私は警察へ通報する気が起きなかった。
アダルトビデオに出ている女優がテレビの向こうにいる人に助けを求めている、それを見ているようで、
あたかも演技のようにしか思えなかったためである。
ふと近所の家々を見ていたらみんな同じように棒立ちでまぐわい坂を見ていた。
そしてしばらく経つと窓をしめ電気を消した。誰も警察に通報していないようである。
男はいつも女に肉棒を刺しているのだから、たまには女に刃物を刺されるのもいいんじゃないかい?
と不謹慎なことを考えつつ、私も眠りにつくことにした。

翌朝、まぐわい坂を見ると警察が来ていた。群がっていた野次馬の話を聞くとやはり坂で男が死んでいたらしい。
私はそれを知っても特に思うことなく、書斎に戻って仕事の続きをしようと思った。
まぐわいというのは生命を作り出す神聖な行為である。
そして、その名が冠された坂で1つの生命が消えていった。
私はそれを滑稽に思い、一人書斎の上でクスリと笑ったのだった。

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