前回のあらすじ

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【前回のあらすじ】
 お母さーん!お母さーん!僕はもう駄目かもしれません。先ほどから数千万匹の虹色した猫が僕の事をいじめるのです。僕の喉はかきむしられて、傷痕が不ぞろいなフラクタル図形を表しています。そういえばお父さんは言っていましたね。男にとっての恥というものは油揚げを猫に盗まれるという事だと。僕はその教えを守って油揚げを守ろうとしました。しかし横から入ってきた狸ババア(それはとかく醜い)に油揚げは取られてしまったのです。ああ、父さん。あなたは僕を軽蔑したりやしないでしょうか。確かに狸ババアに油揚げは取られてしまいました。しかしそれによって油揚げが猫に取られるという可能性は無くなってしまったわけです。お父さん、コレを卑怯と言いますまい。アハハハハハ・・・・・・。
 あ!駄目だ!狸ババアが捕まったぞ!醜い顔をして捕まったぞ!数千万匹の虹色の猫たちにとッ捕まったぞ!ああ、油揚げが!畜生!油揚げが猫に取られてしまった!殺せ!僕を殺してくれ!僕を男だと、認識してくれるなら、今すぐその爪で僕の喉笛を引き裂いてくれないか。

 そうこうしているうちに日が暮れていた。よかったこれでロスタイムが始まる。僕の油揚げはまだ取られたことにはなっていないはずだ。だがしかし、僕と猫の間は約500ヤード。途方もない距離である。仮に私が全力疾走したとしても猫はそれ以上の速度で遠ざかっていく。アキレスと亀のパラドックスどころではない。永遠に遠ざかっていくだけなのである。しかし第七宇宙からお母さんが見つめているので、僕は猫に接近せざるを得なかった。永遠なる追跡劇。いや、逃避行とでも言うべきだろうか。僕と猫との距離はどんどん離れていく。

 しかし計算外の事が起こった。そう地球は球形だったのだ。あるタイミングから僕は猫を追っているのではなく、猫に追われている立場になってしまったのだ!いや!そうではない!もしかすると猫は僕に油揚げを返しに来ているのではなかろうか。そう解釈した僕は猫を待つことにした。
 「やあネコさん。わざわざ油揚げをありがとう」
 そういった瞬間、猫たちは私をいじめ始めたのだった!

 お母さーん!お母さーん!僕はもう駄目かもしれません。
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