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113:手の鳴る方へ 内部探索 その2
第3世代 作者:余所者 
いい妄想ね:0 再生数(UV):21 妄想履歴:96108
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 私には、少し気になることがある。そう、ほんの少しだけ。
 時々耳鳴りがするのだ。それもキーンというような音ではなく、両手を合わせて叩くような。
 しかもそれは特定の方向から聞こえてくる気がする。
 思わず本当の音かと錯覚しそうになるが、周囲の人間は誰一人聞こえている様子はない。

 パァン! パァン!

 その日も、突然だった。柏手のような耳鳴りがまた始まったのだ。
 時刻は深夜、眠っていたのを一気に目覚めさせられる。
 安アパートの一室で、私はぼんやりと考える。
 このまま音が収まるのを待つべきだろうか――それとも、音源を探るべきだろうか。

 なぜそう思ったのかは自分自身にも分からない。そもそも耳鳴りに音源など無い。
 しかし私は「音源を探す」という考えを捨てきれなかった。

【手の鳴る方へ 内部探索】

 たまには夜の時間を、好奇心を満たすために費やすのも悪くはないだろう。

 私は再び目を閉じ、深呼吸を3回と背伸びを3回、いつもの手順通りに行った。

 2回目の背伸びを終えた辺りから、思考が混濁し、頭の中がかき混ぜられ、体が溶けていく感覚が、確実にゆっくりと私の体を侵食していく。

 耳鳴りの音はまだ、いつもの方向から一定のリズムを流し続けていたが、次第に遠くなる意識の中で力を失っていった。

【手の鳴る方へ 内部探索 その2】

 この世界には、すべての人間には知覚することが難しい存在が確かにある。

 二千年以上前に、原子という概念を考え付いた哲学者はいたが、それが原子核と電子によって成り立っていると確認されたのは百年ほど前でしかない。

 現代では「あり得ない」とされている魂や死後の世界と言われる存在も、科学の発達か、あるいは人間の知覚の進化によって、すべての人間が認識できるようになる時が来るのかもしれない。



 私は覚醒状態では殆ど知覚できなかった存在を、睡眠状態の中ではっきりと認識できるという体質を持っている。

 目が覚めている時は僅かしか感じることができなくても、経験した出来事は体の感覚に刷り込まれているらしく、覚醒している時の自分を夢の中で見返すことで「あり得ない」とされている存在を感じとることができた。

 ただしそれらは大抵の場合、意味をなさないノイズのような物でしかなく、痛みや苦しみ、死の実感といった、あまり好ましくない感覚しか私のもとにもたらさなかった。



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