S県M村(β)

S県M村のホームページへようこそ。
妄想情報 お問合せ 村政情報 利用案内
村内序列 最新発言 妄想大賞 コンテンツ募集中

トップ > 妄想トップ

106:「私」は死んだ
第1世代 作者:異端者 
いい妄想ね:0 再生数(UV):21 妄想履歴:
この妄想に妄想を加える ※「いい妄想ね」と「妄想記憶機能」は村人のみ使用できます。


 近所の公園のベンチで、私はスマホを手にして呆然と座っていた。
 「私」は、ある日を境に存在が消えてしまったらしかった。

 そう、トラックに轢かれそうになった少女を助けたあの日から……。

 少女を突き飛ばして、確かに自分はトラックに轢かれたはずだった。
 しかし、気が付くと夜中に近所の公園のベンチに座っていた。
 私は訳も分からずに自宅に戻った。

「お前は誰だ!」

 自宅に帰ってきた時の父の第一声がそれだった。
 「父」が言うには、「私」は3年前に少女を救ってトラックに轢かれて死んだというのだ。
 ありえない――ありえないのだが、強引に仏間に上がり込んで見た遺影は私の物だった。
 もっとも、生きて帰ってきたのならそれで良いではないか――そう思う人間も居るだろうが、現実は違った。
 容姿はそっくり(父は「よく似ている」と言った)でも、父は私を「私」だとは認めなかった。
 私がいくら言っても信じず、とうとう追い出された。

 その後、公園に戻ってスマホで親しい人間に片っ端から電話してみたが、答えは同じだった。
 皆、声は似ていると言ったが、どうしても「私」だとは認めなかった。「私」は死んだ――誰もがそう言った。

 つまり「私」はとうの昔に死亡届が出された故人で、今の私は存在しないのだ。

 ふと、昔読んだ異世界転生の漫画を思い出した。
 トラックに轢かれた少年はそのまま異世界に行く。そして、特別な力で活躍する。
 それと同じではないだろうか。

 だが、私が転生したのは異世界ではなく現実に似た世界、並行世界、パラレルワールド……呼び方はどうでもいい。
 とにかく、「私」の死んだはずの世界に私は転生したのだ。

 さて、どうしよう。

 この世界では、「私」は既に存在しないのだ。戸籍も資格も何の役にも立たない。
 せめて異世界転生にありがちな特別な力でもあれば良いのだが――



コメント
コメント投稿機能は村民のみ有効です。 移住する


TOP

Tweet

プライバシーポリシー | HOME | お問合わせ
copyright © since 2019 suikentsukai.