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062:江ノ島ピンク姉妹

 江の島に「ピンク姉妹」というものが「ある」事を知っているであろうか。いや、知っているわけがない。現地に住んでいる人でさえ知っている人はいない。インターネットにも出てこない。
 なぜ私が「それ」を知っているかというと、私が命名したからである。何を言っているんだろうと思うだろう。私はもう頭がおかしいのかもしれない。このことは嘘だと思ってくれていい。頭のオカシイ大学生の戯言だと受け取ってくれてもいい。だが今から話すことは実際に私の身に降りかかったことなのだ。

 私が大学2年生の夏休みの事だった。
 私は当時所属していた「こんにゃく愛好会」という、よく分からないサークルのイベントで江の島に行ったのだ。まあ「こんにゃく愛好会」とは名ばかりで、実際にはどのサークルからもハブられてしまった余り物が、寄り集まって作った適当なサークルなのだ。もちろんサークル内にこんにゃくが好きなものは一人もいない。江の島に行った理由も、なんとなく旅がしたい。大学に近い所がいい。といったためだ。もちろんこんにゃくは関係ない。
 4日間ほど滞在したが1,2日目は特に何もなかったんだ。バーベキューしたり、海で泳いだり、夜遅くまで酒盛りをしたり。そんじょそこらに居るような大学生サークルみたいな1日を過ごした。
 やつらに会ったのは3日目の夜にやった肝試しの時だった。

 顔が猪八戒に似ている。というどこか腑に落ちない理由のため、脅かし役となった私は一人、木の陰に隠れて脅かす準備をしていた。
 なかなかサークルの奴らは来なかった。
 蝉の声が暗闇の中に響き渡る。私は木に立てかけてあった看板に描かれてあるよく分からないピンクのキャラクターと一緒に待ち続けた。なんだろう、この絵は。全身がピンク色の人型のものが2人、手をつないでいる・・・。私はそれを「ピンク姉妹」と名付けた。

 ああ、サークルのタカシとヒロミはいちゃつきながら来るんだろうな。何で俺はここでよくわからない看板のキャラクターと一緒に待たなければならないんだろう。あいつらが来たら脅かすどさくさに紛れてヒロミのおっぱいを揉んでやろうか。そんなことを考えていると、何処からか人の声が聞こえてきた。
 サークルの奴が来たかと思ったがどうも違う。子供の声だ。2人位の子供が声を合わせて何かをしゃべっているようだ。耳を澄ませてみる。

 「アーラサイ、イミヒニンヌス、ウカタナン」
 
 「アーラサイ、イミヒニンヌス、ウカタナン」

 「アーラサイ、イミヒニンヌス、ウカタナン」

 謎の呪文に驚き、声がしたほうに視線を向ける。
 「それら」が居た。最初はそれがなんであるかは分からなかった。例の看板の絵だった。何か変なキャラクターが描かれている立て看板ぐらいにしか認識できなかったそれは、「いきもの」だった。
 「それ」は私が認識したことを認識すると、私の網膜の中に入り込んできて、それから2度と出てくることは無かった。

 ピンク姉妹は、今も私の目の前にいる。

 「アーラサイ、イミヒニンヌス、ウカタナン」
 
 「アーラサイ、イミヒニンヌス、ウカタナン」
 
 「アーラサイ、イミヒニンヌス、ウカタナン」


(約5分、絵1分)

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