前のページTOPに戻る次のページ

047:恋する昆布


昆布、かく語りき。
「ほら、また彼が私の体を求めてきたわ。」

1匹の小魚が昆布の体をついばみに来たのだ。
小魚の仲間が彼に向かって言った。

「おい、なんで昆布なんて食っているんだ?ワカメのほうが柔らかくてうまいぞ。」
「いや、俺はこれでいいんだ。」
「おかしなやつだなあ・・・。」
「・・・・・・。」

小魚は理由は分からないが毎日昆布だけを食べていた。
昆布はそれが嬉しくてたまらなかったのだ。

「今日も彼のがっつき具合、とても良かったわ。」

昆布に嫉妬した別の昆布が昆布に言った。

「小魚はあなたの事なんかどうでもいいのよ、もしあなたがいなくなったら別の昆布をついばむに違いないわ。」
「そんなことないわ!彼は・・・。」

昆布は何も言えなかった。別の昆布がいう事も一理あるのだ。

昆布は数日ずっとしゃべらず考え込んでいたが、ある日

「わたし、彼の愛を確かめてみるわ。」

そういうと体を岩から切り離したのだった。

「彼が本当に私の事が好きなのであれば!彼は私を探しに来てくれると思うの!」

昆布は流されつつ他の昆布に叫んだ。

しかし小魚は昆布を探しはしない、恋愛とかそれ以前に魚にとって昆布はただの食べ物でしかないのだ。
小魚は別の昆布をついばんだ。
昆布は海流で遠く遠くに流されつつ、小魚が迎えに来てくれるのをいつまでも待った。


WCR投票リンク ↑押すと作者がちょっと頑張ります。 広告


TOP

Tweet

プライバシーポリシー | HOME | お問合わせ
copyright © since 2019 suikentsukai.