045:風呂場に住むおじさま

「おじさん、今週の食料置いておきますね。」

私はあるアパートの風呂場の前に大量の食品を置いた。
私には叔父がいる。そしてその叔父はこのアパートの風呂場に住んでいるのだ。
何を言っているのだろうかと思われるが、文字通り風呂場に住んでいるのだ。
風呂場からは一歩も外へは出ない。すこし変わったひきこもりだ。
まあ、風呂もあるし、飲み水もあるし、トイレ(汚いが)あるから他の普通のひきこもりよりは快適な生活ではないだろうか。
私は週に一度食料を運ぶおつかいをしているのだ

このアパートには誰も住んでいない。もともとは叔父さんの妻が居たみたいだけど今はどこかに引っ越しているらしい。
まあお風呂が使えないわけだから引っ越さざるを得ないだろうね。
しかし離婚はしていないらしい、何故だろう。

そんなある日、食料を置いた後忘れ物に気づいたのでアパートに行ってみたら風呂場の前に誰かいた。
叔父さんの妻だった。食料を持ち去ろうとしている。

「叔母さん、なんで持ち去ろうとしているんですか?」
「何故って私が食べるためよ。」
「叔父さんの分は?」
「叔父さんはいらないの。」
「いらないって・・・。」
「いいから早く帰りなさい!」
「でも・・・」

いきなり風呂場のドアが開き、緑色の腕がおばさんを掴み風呂場へと引っ張っていった。
風呂場からは何も聞こえない、不気味なほどの静寂があった。
私は怖くなり、走って家に帰った。
その事を父に話すと父は「ああ大丈夫だよ」と笑った。
何が大丈夫なのだろうか、私は来週もあのアパートに行かなければならないのだろうか。

翌朝、目を覚ますと私は消えていた。


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