037:筋肉と納豆

筋肉が納豆をかき混ぜていたら1粒、器からこぼれてしまった。

「エンッ!」

筋肉は驚愕した。
その1粒の納豆が落ちる先には自作PCのマザーボードが置いてあったのだ。
PC組み立ての作業の途中で片付けもせずに納豆を食うという行為自体どうかと思われるが、
起こってしまったことはしょうがない。
なんとしても納豆がマザーボードに落ちないようにせねばならない。

人は死の瞬間、周りがスローモーションに見えるらしい。
周囲に自分が助かる方法が無いかを調べるため、スローモーションに見えるようになるのだ。
筋肉には世界がスローモーションに見えた。
マザーボードの死が自分の死と重なったのだ。

筋肉は箸を投げ捨て、その1粒を受け止めようとした。
しかし、失敗してしまった。その上投げ捨てた納豆まみれの箸もマザーボードへ落ちようとしていた。

「やめろおおおおおおお!」

筋肉は雄たけびを上げた。
その顔はスクワットをあと1回上げることができるかどうかの極限状態のような時のゴリラのような糞みたいな顔をしていた。
お前がマザーボードの上で納豆食うのをやめろや。

筋肉は持っていた器を捨て、箸を掴んだ。
筋肉の周りの時間が正常に戻った。
良かった、マザーボードは無事なのだ。

筋肉がマザーボードを見ると器の中に入っていた納豆がマザーボードを埋め尽くしていた。
筋肉は絶望の表情で電源をつけてみた。
動かない。
唯一ファンだけが正常に回り、ファンの上にあった納豆をかき混ぜただけだった。

筋肉はマザーボードを叩き折った。


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