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025:サルモネラ伯爵の寝言と夢遊病の薬


「ちんちん!」

サルモネラ伯爵の館に卑猥な単語がこだました。
声の主は城主のサルモネラ伯爵である。
眠りについていた執事やメイドは驚き目を覚ましたが、
サルモネラ伯爵の寝言であると知ると、「またか・・・」と思い、
また眠りにつくのであった。

サルモネラ伯爵は自信がかのような寝言をしていることを知らない。
誰も知らせないためだ。
仮にだ、「伯爵、あなたは夜な夜な館に響く大声で『ちんちん』と寝言で叫んでいます。」
等と言ってみるがいい。
即処刑だ。
そんなわけで執事やメイドたちは睡眠不足に悩まされながらも我慢しつつ日々を過ごしたのだ。

ある日、伯爵が不在の時に旅の商人がやってきて言った。

「町できいたのだが、ここの伯爵は卑猥な寝言を言うんだって?」

「はあ、左様でございます。」

「それならこの薬を飲ませるがいいよ。」

「これは何でございましょう。」

「夢遊病の薬だ。夢遊病の人はコレを飲むと、もう夜の道を歩いたりしないようになるのさ。
多分寝言にも効くんじゃないかなあ。」

「私たちとしては寝言が止まってくれれば何でもいいのです。買いましょう。」

執事は薬を買い、その日の伯爵の夕食にこっそりと混ぜたのであった。

その夜、いつもの時間になっても寝言は聞こえなくなった。
執事は安堵して眠りについた。
その時である。
ちんちん!
まるで耳のそばで怒鳴られたかのようだった。
執事は何事かと思い、部屋を出た。
すると伯爵が寝ながら場内を歩き回り、「ちんちん」を連呼していたのである。
なんという事だろうか。寝言が治るどころか夢遊病がプラスされてしまった。


執事やメイドたちの睡眠不足はますますひどいものになった。
このままでは寝不足で死人が出るのではなかろうかと思われた。
その時1人の少年召使が言った。
「寝ている間だけ、馬車でどこか遠くに連れてってしまえばいいじゃない。」

皆、その意見に賛成した。
主人など知ったことじゃない、自分たちの睡眠の方がはるかに大事だ。

その日から毎晩、城から森に向かって馬車が出る。
馬車から聞こえる伯爵の寝言はドップラー効果により音色が変わり
真暗な森の中で不気味に響いたのであった。

ちんちん...ちんちん...ちんちん...ちんちん...
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