014:不老不死者の葬式

不老不死者B氏の葬式が行われた。

葬式とはいっても、生前葬である。
B氏いわく、自分は一生葬式を行うことが無いだろうから、一度生前葬という形でいいからやってみたかったのだそうだ。
しかしB氏には別の思惑があった。それは自分の葬式に何人の人が来てくれるかということだ。
はたして自分がどれくらいの人から好かれているのだろうか、それを知りたかったのだ。
B氏は葬式の数週間前から自分の知人や親戚に招待状を送った。

葬式の当日である。結果から言うと誰も来なかったのである。誰一人。
葬式の会場にはB氏と会場の職員、和尚さんだけがいた。

「あの、キャンセルいたしますか?今なら半額ほど支払っていただければいいので・・・。」

職員がB氏に言った。本来ならば当日のキャンセルは全額負担だが、半額なのは職員の気遣いだろう。
B氏はしばらくの間どこか遠くを見つめてぼおっとしていたが、

「いいえ、構いません。始めてください。」
そう言って棺の中へ入っていった。

「本日はご多忙中のところをご臨席いただきましてありがとうございます。只今より、故B様のご葬儀を・・・・・・」
和尚がお経をあげる。誰もいない会場に木魚の音が響いた。


「用意された料理は職員の皆さんがお食べになってください・・・。」
B氏はそういうと白装束を着たままどこかへ行ってしまった。


数か月後、B氏は彼の家系の墓の下から発見された。
寺の和尚が、墓がずれていることに気が付き調べてみたら居たのだ。
B氏はもちろん生きていたが、何も話すことは無く、保護しても数日するとまた墓の下へと自ら埋まりに行った。
その度に墓を掘り起こして保護していたが、ある日、B氏は墓の下でもないどこかへと消えてしまった。
机の上に1枚のメモ用紙があり、B氏のものだと思われる筆跡で次の一文が書かれてあった。

「私はもう人間として死んでいるのです」 
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