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003:食べられないパンの味


夕焼けで赤く染まった空の下、一組のカップルが池でボートを漕いでいた。
2人は色々なことを楽し気に話していた。
今日のデートの事、それぞれの仕事の愚痴、次のデートの事など。

1時間ほど話を続けていたが、やがてお互い話すこともなくなったのだろう。
なぞなぞを互いに出し合った。

男が言う。
「パンはパンでも食べられないパンってなーんだ?」

一般的に考えれば答えはフライパンであるが、女はちょっとひねくれた回答をしてやろうと思い、言った。

「パンツ。」

女は男がこのひねくれた回答に対してどんな反応をするだろうかと思った。
笑うだろうか、呆れるだろうか。
しかし男は女の予想もしないことを言った。

「食べられるよ。」

「えっ」

男は普段の優しげな表情もなく真顔で、そして冷たい声で言った。

「食べられるんだよ。」

「ちょっと、どうしたの?」

「お前は知らないのか、パンツのおいしさを!」

「ヒッ・・・」

「生地はシルクがいい・・・シルクはいいぞ・・・。なんといっても舌触りも噛み心地も素晴らしいのだ・・・」

「やめてよ、怖いよ・・・。」

「そういえば今日の君の下着はシルクだったね・・・」

男の目には狂気が宿っていた。

ここは池のど真ん中の、たった2mほどの長さのボートの上。
逃げ場のない所に狂人と2人きりでいるこの恐怖がわかるだろうか。

「食べさせろおおおおおおおおお!」

男は叫ぶと女のパンツを脱がしにかかった。

「嫌ああああああああああああああ!」

女の悲鳴が響く。しかし助けるものはどこにもいない。

「パンツ・・・パンツゥ・・・」



その時、耳を劈くようなサイレンが池に鳴り響き、真夏の太陽のようなサーチ・ライトの光が2人を照らした。

「パンツ警察だ!強制パンツ食事違反で貴様を逮捕する!」



かくして女は突如現れたパンツ警察によって助けられたのであった。

「ありがとうございます。」
女が言う。

「いえいえ、これも仕事ですから。しかしあなたも注意しないといけませんよ。パンシスト(パンツを食す者)を刺激しちゃ」

「すみませんでした・・・」

「ははは、じゃあパンはパンでも食べられないパンってなーんだ?」

「フライパン」彼女は笑ってそう答えた






どこか遠くで声が聞こえた。

「食べられるよ」

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